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岡山地方裁判所 昭和43年(わ)413号 判決

一、本店所在地

浅口郡鴨方町大字六条院中三、四六二番地

法人の名称

栗山精麦株式会社

代表者住居

前同所

代表者氏名

栗山好幸

二、本籍

浅口郡鴨方町大字六条院中三、四六二番地

住居

右同所

会社役員

栗山好幸

大正一五年一月二二日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき当裁判所は検察官田井正己出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告人栗山精麦株式会社を罰金二百万円に

被告人栗山好幸を懲役八月に

各処する。

被告人栗山好幸に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人栗山精麦株式会社(資本金一五〇万円)は、岡山県浅口郡鴨方町大字六条院中三四六二番地に本店を置き、精麦業及び各種農産物の加工、販売業を営むもの、被告人栗山好幸は右会社の代表取締役としてその業務全般を統轄しているものであるが、被告人栗山好幸は、右会社の業務に関し法人税を免れる目的をもつて、同会社取締役栗山章子並びに遠藤栄一と共謀のうえ、同会社の原材料費(原料麦)を公表帳簿上架空に計上し、これにより架空名義の簿外預金を設定する等の不正の方法により

第一、昭和三九年六月一日より同四〇年五月三一日までの事業年度における同会社の所得金額は二八、一〇八、三一六円、これに対する法人税額は一〇、一八二、五〇〇円であるのに、同四〇年七月三一日倉敷市玉島阿賀崎六六六番地玉島税務署において、同税務署長に対し所得金額が二、三七一、七七三円、法人税額六九七、八二〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右正規の法人税額との差額九、四八四、六八〇円を逋脱し

第二、昭和四〇年六月一日より同四一年五月三一日までの事業年度における同会社の所得金額は一八、二八一、七八二円これに対する法人税額は六、五五四、八〇〇円であるのに同四一年八月一日前同所において、同税務署長に対し所得金額が二、三五四、六一四円、法人税額七〇〇、七七〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて右正規の法人税額との差額五、八五四、〇三〇円を逋脱し

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述並びに第一回及び第七回公判調書中の被告人の各供述部分

一、被告人の国税局収税官吏に対する各質問顛末書及び検察官に対する各供述調書

一、領置してある法人税決議書二冊(昭和四四年押第四一号符七〇、七一号)

一、広島県警察本部長作成の「鑑定結果について(回答)」と題する書面

一、岡山県笠岡県税事務所長作成の「捜査関係事項について(回答)」と題する書面

一、鴨方町長作成の「捜査関係事項回答書」と題する書面

一、検察事務官作成の昭和五〇年四月七日付電話聴取書(玉島税務署の所在地について。)

一、領置してある遠藤栄一玄麦買入計算書二冊(前同押番号符二七、二六号)、総勘定元帳二冊(前同押番号符六八、六九号)請求書及び領収書(前同押番号符二ないし二五号)

一、証人筒井靖枝(第九回公判)、同栗山繁昌(第一〇回公判)、同清水宏(第一三回公判)、同赤沢朝子(第一五回公判)、同田口こと岡シゲ子(同公判)、同生原こと山下俊子(同公判)、同遠藤栄一(第一八回公判)、同遠藤静子(第二二回公判)、同片岡末男(第二三回公判)、同梶谷重平(第二三回公判)の各公判調書中の各供述部分

一、赤沢朝子、田口こと岡シゲ子及び生原こと山下俊子の検察官に対する各供述調書

一、証人遠藤栄一及び同渡辺恒則に対する当裁判所の各尋問調書

一、遠藤栄一及び宮崎正美の検察官に対する各供述調書

一、中国銀行鴨方支店長荒川八郎作成の「定期預金利息月払支払明細書について」及び「定期預金残高について」の各証明書

一、領置してある担保品元帳及び定期預金元帳(前同押号符一及び三一ないし三三号)

一、証人荒川八郎(第三回公判)、同今在沢一(第四回公判)、同佐藤求(第七回)の各公判調書中の各供述部分

一、領置してある顧客勘定元帳(前同押番号符三五ないし四三号、符四四ないし四八号)、念書綴台帳(前同押番号符五四号)、保護預り有価証券(前同押番号符五五号)、マイクロフイルム(前同押番号符四九号)、投資信託収益金支払請求書(前同押番号符五一号)、有価証券預記入帳(前同押番号符五六、五七号)、保護預り有価証券明細(前同押番号符五八号)、顧客カード(前同押番号符三四号)、有価証券出入券(前同押番号符五〇号)

一、大野利夫の検察官に対する供述調書

一、大野利夫、豊田敏郎及び中村憲治の国税局収税官吏に対する各質問填末書

一、野村証券岡山支店長作成の証明書八通(昭和四八年一〇月一九日付一通、昭和四二年六月八日受付二通、同月一九日受付二通、同月三〇日受付三通)及び上申書一通

一、山一証券岡山支店長作成の証明書及び上申書

一、山一証券岡山支店作成の分配金証明書、東京証券代行株式会社管理係作成の回答書及び三井信託銀行証券代行部作成の回答書

一、検察事務官作成の昭和五〇年四月一一日付電話聴取書

一、領置してある仕訳日記帳(前同押番号符六七号)

一、中国銀行鴨方支店長荒川八郎作成の「手形貸付利息明細について」及び「手形貸付元帳について」の各証明書

一、領置してある担保品元帳(前同押番号符一、六五、九二及び九三号)、手形貸付元帳(前同押番号符五九ないし六四号)繰越担保品元帳(前同押番号符六六号)

一、広島国税局作成の調査所得(調査による増減金額)の説明書写二通

(確定裁判)

被告人栗山好幸は、昭和四九年二月二八日岡山地方裁判所で公職選挙法違反により懲役三年、執行猶予五年に処せられ、右裁判は同年三月一五日確定したものであつて、この事実は検察事務官作成の前科調書によつて認める。

(法令の適用)

被告人栗山好幸につき

各法人税法一五九条一項、刑法六〇条(懲役刑選択)

刑法四五条後段、五〇条(前示確定裁判)

刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(重い判示第一の罪の刑に加重)

刑法二五条一項

同栗山精麦株式会社につき

各法人税法一六四条一項、一五九条一項

刑法四五条前段、四八条二項

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 白川清吉)

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